2022.12.23
ホッキ貝は、福島の海でよく獲れる常磐ものを代表する貝。特に、相馬・双葉沖では明治時代の頃からホッキ貝漁が行われており、相馬は昔から“ホッキ貝の名産地”として知られている。常磐沖はホッキ貝が獲れる南限とされ、福島県のホッキ貝漁は6月から翌年1月まで。ほかの産地に比べると身が大きく、甘味があり柔らかな食感が特徴だ。
相馬に住む人にとって、ホッキ貝は日常的に食べる馴染みの食材だ。特に「ホッキ飯」は郷土料理として親しまれており、飲食店だけでなく家庭でも食べられるという。 松川浦を臨む飲食店『お食事処 たこ八』でも、ホッキ飯はお店の主力メニュー。とくに、ホッキ貝を様々な調理法で楽しめる「ホッキ三昧」が人気だという。「1日約300個のホッキ貝を剥く」という店主の小野芳征さんに、ホッキ貝の魅力について話を聞いた。
小野さんによると、ホッキ貝は「小さい頃からよく食べている貝」。地元・相馬を代表する貝を「存分に食べてもらいたい」と考案したのが、人気メニューの「ホッキ三昧」だ。
ホッキ飯は、店や家庭により味付けや作り方が異なる。『たこ八』のこだわりは、ホッキ貝とご飯を“一緒に炊き込まない”こと。ホッキ貝の身を、さっと湯がいて後乗せすることにより、「ホッキ貝の柔らかさを堪能できる」という。
ホッキ貝=赤と白の身、と想像する人が多いかもしれないが、赤い部分は元々、薄い青紫色。少し火を通すと色が変わり、福島産の場合はピンク色になる。小野さんいわく、ピンクは「身が柔らかい証拠」。
ホッキ貝=赤と白の身、と想像する人が多いかもしれないが、赤い部分は元々、薄い青紫色。少し火を通すと色が変わり、福島産の場合はピンク色になる。小野さんいわく、ピンクは「身が柔らかい証拠」。
小野さんにホッキ貝の魅力を聞くと、「ホッキ飯はもちろん、刺身でも焼いても天ぷらでもフライでも美味しい」と返答が。ほかの貝類に比べて身が大きく甘さがあり、調理方法が豊富なのだという。『たこ八』では提供していないが、肉の代わりにホッキ貝を入れたカレーも出汁が効いて美味しいそう。 また、ホッキ貝の刺身は生またはボイルで食べられており、『たこ八』ではボイルで提供している。しかし“生派・ボイル派”に分かれるそうで、わざわざ「生で」とリクエストするお客さんもいるそう。
『たこ八』では、ホッキ貝料理だけでなく様々な海鮮料理を楽しむことができる。ホッキ飯に次いで人気なのが、海鮮丼。小野さんいわく、「いろんな種類の魚が獲れる」ことが常磐ものの魅力。近海で200種以上の魚が獲れることから、「恵まれた場所だと思う」と語ってくれた。
ホッキ貝は、“市民の台所”として親しまれている『浜の駅 松川浦』でも人気の商品だ。2020年10月にオープンした同店は、旬の食材や物産品が数多く揃う市民市場。地産地消を推進する、復興のシンボル的施設だ。
漁港に隣接していることもあり、『浜の駅 松川浦』には獲れたての海産物が並ぶ。新鮮なホッキ貝は定番商品として売られ、地元の方や観光客がたくさん購入していくそう。そのため、売り切れてしまうときもあるという。