COLUMNコラム

常磐ものの肉厚なヒラメをまるごと食べつくす!

2023.02.01

高級魚として知られるヒラメは、晩秋~冬にかけて旬を迎える白身魚の代表格だ。見た目はカレイに似ているが、比較すると口がかなり大きく鋭い歯が並んでいる。餌は主にイワシやアジなどの魚や、イカ、甲殻類など、生きた獲物を襲って食べる獰猛な魚だ。 福島は年間を通じて水揚げがあり、全国でも有数の産地。常磐の栄養豊富な海で育ったヒラメは肉厚で、市場での評価も高い。「福島県ブランド認証産品」にも認証されており、地元民にとっても馴染みの魚である。

 

相馬の「ヒラメづくし」プラン

常磐もののヒラメを心ゆくまで堪能できるのが、相馬・松川浦の旅館が提供する宿泊プラン「相馬原釜産!1匹まるごと天然ヒラメづくし」だ。このプランでは、各宿の料理長が手掛けたヒラメ料理を楽しむことができる。宿によりメニューは異なり、それぞれが趣向を凝らした料理を10品も食べることができるという。

このプランを提供する『ホテルみなとや』で、料理長の管野芳正さんにヒラメについて話を聞いた。

ヒラメは「地元の自慢の魚」と語る管野芳正さん
『ホテルみなとや』の「ヒラメづくしプラン」(宿泊込み15,400円)。※宿によりメニューや金額は異なる

管野さんいわく、常磐もののヒラメは「旨味が強く、肉厚」。栄養豊富な海で育った小魚などのいい餌を食べているため、ヒラメも美味しくなる。年中美味しいが、特に肉厚になり脂が乗るのは12~2月頃だそう。

ヒラメは、寝かせる期間により食感がまったく異なるという。獲れたてのヒラメの身は包丁が入らないくらいプリプリしているが、1~2日ほど寝かすとしっとりしてくる。管野さんいわく、「刺身は熟成させる」のがコツ。そうすることで、もっちり・ねっとりした舌触りと旨味が増すのだそう。

ウロコが細かいヒラメは、身を痛めないよう包丁でウロコと皮を「すき引き」する

『ホテルみなとや』の「ヒラメづくしプラン」では、定番の刺身はもちろん、しゃぶしゃぶやムニエル、フライなど、様々な調理法でヒラメを堪能できる。ヒラメの魅力を味わい尽くせるよう考え抜かれた贅沢なプランだ。地元で獲れる自慢の魚だけに、「ヒラメを美味しく食べたい」という探求心が生まれ、様々な調理法が編み出されている。

 

漁師に教わったまかない飯

「ヒラメづくしプラン」がはじまったのは、2020年冬ごろ。「美味しい冬のヒラメを食べてほしい」という想いから、宿泊事業者らが相談して考案した。

管野さんいわく、震災後「みんなで協力して地元を盛り上げていこう」という想いがより強くなったそう。近隣の旅館やホテルはもちろん、漁師や市民など、様々な人が手を取り合うようになった。ここ数年はより繋がりが強固になり、どうしたら地元が盛り上がるのか考え、発信する体制ができてきているという。

実際、『みなとや』の「ヒラメづくしプラン」は、管野さんが懇意にしている漁師の協力があって完成した。船上で食べるような“まかない飯”のレシピを教えてもらい、それを参考に考えたメニューもあるという。漁師さんは「料理人では思いつかないような調理法」を知っていると、管野さんは語る。

船上飯を参考につくった「味噌たたき」。ヒラメと味噌だけでシンプルに仕上げる
つみれ汁。新鮮なヒラメの肝が隠し味。出汁はヒラメのあら(骨)から取っている

また、管野さんのこだわりは魚以外も「相馬の自慢の食材を使う」こと。醤油やワサビも、相馬で作られたものを選んでいるそうだ。

通常、ワサビは涼しい沢で水耕栽培されることが多いが、相馬のワサビは、独自の栽培技術を用いハウス内の土で育てられている。地元の新たな特産品として「相馬わさび」と名付けられ、常磐ものの魚介類のお供としても注目されている。

管野さんに今後の展望を聞くと、「なんとか地元を盛り上げて、たくさんのお客さんに来てもらいたい」と言う。宿泊事業者同士が繋がり合って盛り上げることで、「地元の財産を未来に残していきたい」と語っていた。

2022年の全国醤油品評会で農林水産大臣賞を受賞した「ヤマブン うすくち醤油」と「相馬わさび」

 

●ホテルみなとや

住所:福島県相馬市尾浜字追川137

電話:0244-38-8115

HP:https://www.minatoya-souma.com/

「相馬原釜産!1匹まるごと天然ヒラメづくし」の詳細は『相馬観光ガイド』

HP:https://soma-kanko.jp/purpose/eat/