COLUMNコラム

復活した松川浦名物!魚本来の美味しさを味わう絶品浜焼き

2024.02.06

福島県相馬市の松川浦では、各旅館の軒先で行われる「浜焼き」が名物だった。震災後は途絶えていたが、2021年に復活し再び人気を集めている。常磐ものの美味しさをダイレクトに味わえる絶品浜焼きには、地域の伝統を継承したいという旅館の若旦那たちの思いも詰まっていた。

  

復活した地域の伝統

松川浦の浜焼きは、漁師の妻たちが海から帰ってくる漁師たちを暖かく迎えるために浜で火を起こし、獲ってきた魚を焼いて食べていたことが始まりと言われている。震災前までは各旅館が軒先で観光客や宿泊客のために炭火で魚や貝を焼いていて、香ばしい匂いが地域一体に漂っていたという。

「浜焼きのある松川浦の光景を取り戻したい」ー震災から10年が経った2021年、松川浦の旅館の若旦那たちが立ち上がった。親の世代から串の打ち方やタレのレシピなどを聞き取り、かつての浜焼きを復活させた。旅館「いさみや」の若旦那・管野功さんによると、浜焼きの再開を誰よりも喜んでいたのは地元の人たちだったという。松川浦にあの“懐かしい”香りが戻ってくるのを待っていたのだ。

浜焼きを復活させた「松川浦ガイドの会」のメンバー。各旅館の若旦那が中心となっている。
旅館「いさみや」の管野功さん

  

常磐ものを丸ごと味わう

若旦那の技が光る串打ち

魚の身が波打つように串を通す「踊り串」。

相馬の浜焼きでは、もちろん常磐ものの美味しい海の幸を味わうことができる。焼き場にはカレイやチダイといった魚のほか、ツブ貝やホッキ貝も並ぶ。相馬の浜焼きは、魚を頭付きで丸々使うこと、そして竹串を一度も魚の外に出さずに通す「踊り串」が特徴だ。こうすることで串が焦げず、綺麗な姿焼きができるのだそう。

ヒレは塩で広げ、見た目もよく仕上げている。香ばしい匂いがたまらない。

炭火で焼くことで、表面はパリッと、中はふっくらとした食感に仕上がる。

  

貝には特製の甘しょっぱいタレをつけるのだが、この“秘伝の”タレがまた絶品。表面を軽く焼いたおにぎりにもたっぷりと付け、香ばしく焼き上げれば浜焼きの最高のお供になる。

タレが焼ける匂いも食欲をそそる。

旅館「いさみや」では、旅館の前で毎週末浜焼きを提供しており、いい匂いに誘われて立ち寄る人も多いという。また、若旦那たちで作る「松川浦ガイドの会」では若旦那たちと交流しながら、串打ちから焼き上げまでを体験できる宿泊プランも提供している。浜焼きを楽しみながら、松川浦の魅力についても存分に知ることができる内容だ。 ぜひ、常磐ものの絶品浜焼きを味わいに現地を訪れてみてはいかがだろうか。

  

●旅館いさみや

福島県相馬市尾浜字船越92-1

電話番号/0244-38-8216

https://ryokan-isamiya.com/